転職理由が、今のままではいけない、先を考えたい、といった抽象的な答えでは、面接官へ好印象を残せません。何故なら転職理由は、面接で必ず聞かれる項目である前職の退職理由および志望動機に直結するからです。そして、この転職の目的がしっかりと答えられなければ、採用されない可能性が非常に高いです。また、自分の中で転職理由が明確にならなければ、希望する企業が見つかったとしても、ここも違うと、また転職を繰り返すことになる可能性が高いのです。もし、転職の理由が自分には合っていない、もっと良い環境があるのかも、とぼんやりとした理由であれば、転職活動をすべきではないと考えます。
では、どの様な理由が明確と言えるのでしょうか。実際に、転職理由を明確にしている20代後半の女性は、結婚を機に自分のキャリアプランを見つめ直すと、いつまでも総合職のフルタイムで働くのではなく、これから予想される出産などのライフイベントに合わせた変化が必要だと感じました。パート勤務も視野に入れながら、緩やかに働いていきたいし、産休を取ったり、夫の転勤で転居した場合にも仕事が出来るように出産までに資格取得を目指し、どこでも通用する専門的スキルをつけておきたいと具体的で理解出来る理由を持っていました。この様に具体的で、なおかつ明確な理由があれば、応募する企業を絞る事も出来ますし、失敗のない転職準備が出来ると言えます。
また、今後自分が目指す目標も明確にする必要があります。単純にスキルアップを目標にしたいと言っても、どのスキルを、どんな方法で、いつまでに達成するかを問われます。その為には、まずは目標設定が必要となります。
例えば、介護の仕事に就く20代後半の女性なら、最初はヘルパーから始めて現場を知り、2年後にはケアマネージャー資格を取り、利用者さんとその家族に介護を提案出来るようになる、40代に入る頃には現場での仕事は体力的に無理がでるので、最終的には相談員や心理福祉士の資格を取って、利用者さんやその家族の良き相談者になれるようにする、といった具合に、スキルアップの時期やその理由を明確にしておく事も、応募した企業の面接官に好印象を与える事となるでしょう。
転職理由を明確にするのは大切ですが、気を付けなければいけないのが、建前としての転職理由と本当の転職理由を混同してしまう事です。例えば、本当の転職理由は自分の仕事をなかなか認めて貰えず、評価を受けなかった事が不満だったとしましょう。人間は誰もが自分の非を簡単には認めたくないものです。ましてや、自分は頑張っていると感じている方は尚の事です。その為、自分に何が足りなかったのかを考える事が後回しになってしまう傾向があります。そうすると、今の職場は正しく人を評価できない企業だと思うようになり、これを建前上の転職理由にしてしまい、自分の評価をいつまでも求め続けてしまうのです。これが落とし穴となり、転職しても評価が低いとまた転職を繰り返す結果となるのです。
時に、若さゆえに感情的に物事を捉えがちになりますが、自分の出来る事、出来ない事に向き合い、不足している部分は今後のスキルアップとして考える事も大切な転職準備のひとつと言えます。